「復活19」

この一年は、左右の目のバランスが機能しなかった。いまでは、左目で見えるのは矯正視力にして2、30センチくらいまでとなった。網膜剥離の後遺症である。

おかしいな、と思ったのは春頃のテニスだった気がする。すでにその頃は、かなり悪くなっていたはず。しかし、検査では、勘でもいいから見えればいい、とのことで、奇跡的に連続で的中させ、手術への準備が遅れた。

どうせなら見えなくなっていく間、なにかをつかんでやろうと、いくつかのトライへ。テニスでは、片目と両目のちがい。構えるときの体の角度の違い。リズムで打つパターンと、ひきつけてうつパターンなど。

結局、見えなくなると、余計に見ようとしてフォームを崩す。体からできるだけ離すようにすると、ストロークと意外にもリターンはわりとうまくいった。おそらく、リズムが通用するからだ。

しかし、ボレーとスマッシュは、いかんともしがたかった。微妙な距離感の狂いが、気になって仕方がない。とくに、正面に来たボールが対処できない。ドロップショットは、遅れる。ロブを上げられると、ペアとぶつかりそうになる。おとすと、今度はイレギュラーがこわい。

ここで、テニスは、バウンドのスポーツなのだと理解する。バウンドがいくつもの情報を与えていたのだ。あれほどスピンとスライスに翻弄されていようと。

さあ、いまから手術だ。