「復活20」

手術は無事成功し、左目の視力は復活した。左右のバランスがいいと、こんなによく見えるものなのかと、喜びの毎日を送る。しかし、それも当たり前となり、感動も少しずつ薄れていくと、こんどは食中毒になった。

五日にわたり、高熱と下痢で、家から出ることができず、五分や十分で便意を催す。ようやく食べられるようになっても、すぐに出るので、口と肛門がつながっているような気もした。あれ、健康なときには気がつかないが、食べると肛門が緩むというのは、人間の正常な反射なのだそうだ。そういえば、動物も食べながら、ぼろぼろ糞を落としたりしているな。

病院で、海外に行かれました? と尋ねられたが、ガンジス川などで水にあたったときも、きっとこんな感じなのだろう。つくづく思ったのは、胃と腸はつながっているということ。腸が動かなければ、胃も動かない。だから、食欲もなくなる。そのせいで、体重が随分落ちてしまった。

捨てる神あれば拾う神あり、というのかどうか、そのおかげで肩の筋肉が柔らかくなったようで、サーブが打ちやすくなった。股関節も、以前より柔らかくなったらしい。この上にいい筋肉をつけていけば、もうひとつ上のプレイにいけるかもしれない。

全仏決勝でのナダルは、数年前とは別人のようなネットプレイヤーに生まれ変わっていた。一度は完成したはずのスタイルを壊し、進化する自分を実感できるのは、さぞ楽しかろう。

そして、上智大学から皇居に向かう通りの、夕陽に映える緑の、なんと綺麗だったことよ。

(内藤まろ)